嚥下障害とは

嚥下障害のイメージ写真

嚥下とは、口の中に入れた食べ物を咀嚼して飲み込み、食道や胃に届けていく動作のことを言います。これが上手くいかない状態を嚥下障害と言います。さらに、そのまま放置が続けば、誤嚥性肺炎、栄養不良、脱水症、窒息などの症状や疾患がみられるようになります。嚥下障害を疑う主な症状としては、以下のものが挙げられます。心当たりのある方は、一度当クリニックをご受診ください。

  • 過去に誤嚥性肺炎の治療歴のある方
  • 痩せてきた
  • 食べるスピードが遅くなった
  • 物が飲み込みにくい
  • 水分摂取時にむせる
  • 喉がゴロゴロする(痰が絡んだ感じがする)
  • 口や喉に食べ物が残る感じがする

嚥下障害の原因

発症の原因は、ひとつではありません。様々ありますが、よくみられるのは、加齢に伴って起きる、咀嚼機能の低下、唾液腺の委縮や分泌量の低下等、筋力低下や変性による嚥下障害です。また、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、神経筋変性疾患(パーキンソン病 等)、代謝性疾患(アミロイドーシス 等)などの病気に罹患し、運動麻痺や筋肉・神経の働きが低下することもあります。

上記以外にも心因性(うつ病 等)や薬剤の影響(抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗てんかん薬 等)、外傷、がん等による炎症や腫瘍などが原因で起きることもあります。

当院での嚥下診療の流れ

  1. 問診
  2. 嚥下スクリーニング検査
  3. 嚥下内視鏡検査
  4. 嚥下造影検査
  5. 患者さまそれぞれに合わせた治療・リハビリへ

検査について

嚥下障害の診断をするため当院では、スクリーニング検査、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査が可能です。それぞれの検査内容は次の通りです。

スクリーニング検査

問診や質問シートに記入するなどして、どのような症状や問題があるかを確認していきます。そのうえで、以下のテストを行います。

  1. 反復唾液嚥下テスト
    30秒以内に唾液を何回飲み込めるかを調べます
  2. 水飲みテスト
    3ml、30mlの水を飲み、その際に時間を計測するほか、ムセなどの状況を観察します
  3. 咳テスト
    ネブライザーよりクエン酸を経口吸入し、咳の有無を確認します
  4. 頸部聴診法
    嚥下動作をする際に頸部に聴診器を当て、嚥下音を確認します
  5. 嚥下関連筋・呼吸筋・体幹の筋力測定
    それぞれの筋力を測定します
  6. 頚部エコー検査

嚥下内視鏡検査

鼻腔より内視鏡を挿入し、咽頭や喉頭の様子を確認していきます。その際に着色した水分、とろみをつけた水分、ゼリーや粥などの半固形物、ミキサー食などを飲み込んでいただく事で、患者さまの実際の嚥下状態を観察することが可能です。

当院で使用する内視鏡の径は3mmと細く(一般的な胃カメラで使用する内視鏡は5-9㎜程度)、不快感はありません。また造影剤やX線を使うことがないというのも利点です。検査時間は5分程度で行います。

  • 嚥下内視鏡検査の説明イラスト
  • 嚥下内視鏡の写真

嚥下造影検査

嚥下造影の写真

造影剤を含む様々な食品を召し上がっていただく様子を確認するための検査です。飲み込みの様子をX線透視下で確認します。飲み込んだ食物がどのように喉や食道を通過するか、誤嚥の有無、咽頭にどの程度の残留物が残るかを確認することができます。

これによって、嚥下障害の程度を判断することができます。検査結果に応じて、食事形態・摂取方法・食事中の姿勢など、患者さまに適した方法を検討していきます。

治療について

嚥下障害の治療法としては、内服薬・嚥下リハビリテーション・外科的治療があります。

嚥下リハビリテーション

当院では外来嚥下リハビリを行っています。間接訓練、直接訓練をはじめ、複合低周波治療器や干渉波刺激器を用いて、効率的に嚥下リハビリを行います。

外科的治療

嚥下リハビリテーションだけでは、嚥下障害が改善されないという場合に行われるのが外科的治療です。診察の結果、手術療法(嚥下機能改善術、誤嚥防止術)が必要と判断した場合は、外科的治療を行っている専門医療機関を紹介いたします。

医療連携のイメージイラスト

様々な職種・診療科との連携が必要です。必要に応じて、他院紹介させて頂きます。

嚥下障害は生命予後に大きく関与します。そのため、早期から予防(嚥下訓練)が必要です。
気になることがあれば早めに嚥下外来受診をご検討ください。

嚥下障害の診療には時間と自宅での情報が必要のため、完全予約制で主たる介護者の同伴をお願いしております。

Doctors File 食事中にむせたり、咳き込んだり 嚥下障害は専門機関で検査を